チルドコーヒーがおいしくてちょっとおもしろかった話

普段はコーヒー豆を手で挽いて淹れるのが楽しいからそうしているんだけど、たまーにちょっといいチルドのコーヒーを飲みます

夏とかが特にそうで、なぜならチルドなら氷入れるだけで簡単にアイスコーヒーが作れるから

自分はカフェインに対する反応がどうやらいい方らしく、あるいは単にコンディションを気にする年齢になったのか、それとも少しは自分に目を向けるようになったのか、、、とにかく、3杯も飲んだらもう調子悪くなる

そんなわけでどうせ大量には飲まないので、たまに見かけたちょっといいチルドのパックを試してみる、という飲み方は自分にとっては費用対効果がいいものだったりする

200gとか豆で買っちゃうと、比較的それに集中して飲んでも1ヶ月くらいは残ってるからね、、、(北海道みたいに100gから売ってくれるとありがたいのだけど、そうもいかないんだろうなあ)

で、チルドは豆で挽いたものとはなぜか味は違う気がするけど、これはこれでおいしい

というよりアイスコーヒー特化の味の出し方とか、アイスコーヒー用の豆がこれなのかな?買ったことないからわからない

コーヒーショップでも普通にチルドって出てくるし、自分としてもそれが好きだったりするし

可否茶館のアイスコーヒーは多分チルドで合ってるはず、味もそうだったけど30秒で出てきたことがあったので

で、すごく独特な、香り高くて甘くてスッキリ飲める、軽い感じの味なんだよね、とはいえ缶コーヒーのようなもののことを指しているのではなくて、「こういうもの」という明確な味の意思があるというか、そんな感じに思えてる

で、これまでチルドで好きだったのは可否茶館と、カルディとか成城石井で見かけるホーマー(関西の方だったかな)の白とドン・マニュエルだったんだけど、

やっとここからが本題で、

最近、近くの地方品を扱うショップで売られていた茨城と新潟のメーカー、というよりロースターなのかな、のコーヒーを試したらけっこう美味しかった

そういえば茨城はサザコーヒーとかあるし、よく知らないけどコーヒー文化がちょいちょいあるのだろうか

カピアンコーヒーというらしいが、そっちは華やかな香りとすっきりした苦味の味で、なんとなく伝統的なアイスコーヒーらしいアイスコーヒーに、追加でスペシャリティ感が乗った感じというか、そんなイメージ

で、もう一つの新潟の雪室珈琲というのがちょっと珍しい味で、どしっとくる、香り高くてコクの強い味だった

可否茶館みたいな甘くてカラメルのような方向も珍しいと思っているけど、一方でこっちは重さがその真逆、同じく甘い香り高さはあれど、とてもフルボディな味というのか

まずおいしくて気に入っているという前提を置いた上で、言葉を選ばず感じたことを素直に書けば、口残りに納豆、鼻残り(喉残り?)にわずかに甘みの弱い日本酒、そういう方向性を感じるタイプのコーヒー

(ちなみに後述するけど、自分はコーヒーに対して、豆の発酵食品の味をよく感じる傾向にあるっぽい)

どっちも最初の鼻に抜ける時の奥にある風味と、飲み込んでからしばらくして口の奥に残る味

口に入れた瞬間も鋭い苦味と同時に、日本酒やみりんのような揮発性と甘さが感じられる

ちなみに売り場の説明図(4章限マップ)では苦味は軽いほうだと書いてあったけど、自分はけっこう鋭く感じたなあ

そして口の中にある間はどっしりとした複雑でコクのある味、刺激が強い

これらは自分で変な表現だと思ってるけど、でもスペシャリティ方面に多い感覚で、例えば猿田彦の淡口ラテなんかも一口目の感想は味噌だと思った

ちなみに猿田彦の淡口ラテの説明は「ブルーベリー」で、なるほどそれもよくわかると思ったし、あとそもそもホットとアイスで何かの活性度が変わるのか、味が魔法のように全く変わる(違う豆を使ってるんですか、と訊いたことがあるけど、同じですよと言われた)

で、スペシャリティと違うのは、大体スペシャリティは軽くて華やかな方向に行くのだけれど、これは華やかだけど重くて複雑、という感じ

個人的にはこの手の、スペシャリティ+フルボディ的な物を飲むと、、、なおカテゴリ分けはもちろんあくまで個人的な意見だけど、、、明治〜大正時代の西洋向け日本建築のようなイメージが頭に出てくるんだよね

狭くて、木と石で、シャンデリアで、赤絨毯のあれね

これらはどっちもアイスではないけど、仮にこの店のホットのコーヒーが出てきたとすると、森彦の森の雫とか、石田珈琲とかを飲んでいるときの感覚と方向性、「何に良さを見つけて、人に伝えようとしているか」という感性は似てくるんじゃないかな、、、などと

でもそれらよりは豪雪地帯の雪の重さのような重量感を目立って感じるかな、、、

(ちなみに自分は日本随一の豪雪地帯のひとつの出身で、身の丈より高い雪を掘ったり泳いだりして通学したり、その後も雪の降る場所を転々としてきたり、そんな感じ)

まあそこらへんは言い過ぎかもしれない、けど、多分お店に行ってホットを飲んだら似てるんじゃないかな、と直感した

あと、最近は個人的に、北海道と新潟の「味」の文化、というか、「味の追求の仕方、そこに商業より文化を感じること」に共通点を感じつつあって、そういう意味でもおもしろい体験だった

一部食べた範囲では、お菓子がどうやら同じ方向を向いている感じがあって、そして、コーヒーでも似たような印象を今持ちつつある

そもそも雪室珈琲のチルドはおそらく液自体が濃く出してあって、そういうところなんかも、北海道や新潟の製菓に受けているイメージに重なるかもしれない

ちなみにチルドだけど漆黒のカフェオレが作れます、おいしい

ミルクを5割くらいにしても濃いし、というか、、、色自体が「黒」くないかこれ

(あとカフェオレついでに書いておくと、今どうなってるかわからんけど2年前くらいの感覚だと、ドン・マニュエルも「コクの強いカフェオレ」が作れたはず、いわゆるミルク向きの豆ではない気がしているが個人的においしかった)

「納豆だの酒だの味噌だの」という表現を自己分析すると、多分、コーヒーに発酵感みたいなものがあって、実際コーヒーは味噌や納豆と同じ「豆」でもあるので、そういう風味があるのだということを言いたいんじゃないのかな、と思っている

もしかすると豆が実際に発酵してるのかな、とはいえ仮にそうだとしても人間が味として感じるものかはどうかはわからんし、まあ細かいことはいいか

豆的な発酵感、アルコール感、カラメルみたいな揮発性の塊が、スペシャリティと呼ばれる方向性と同じ場所にあるらしい、と感じ取ってるっぽいんだよな

で、もちろんこれはあくまで個人の感想であり個人的な描写です、味噌とか納豆とか書いて店の迷惑になると悪いんで、とりあえずは見つけたら飲んでみてください、ここに書いたものはどれもおいしいはずです

まあメタなこといえば、大手が流通させてるくらいだから間違いないわけでね、、、

それぞれ地元品のほうはさすがにちょい高いので、見つけたからといっていつでも買えるものではないかもだけど、この暑い中外に出て店で珈琲飲むのと比べれば(平均的なローカル喫茶店の主力ブレンドやいい豆のストレート1杯と、ここで紹介したチルド1パックが大体同じ価格帯)、十二分に価値のあるものだと思います